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資産運用の常識・非常識②

資産運用の常識・非常識②

前回の記事では
アンカリング効果について
ご紹介しました。

今回は引き続き
リーマンショック前後の
米国株式の株価の
値動きを見ながら
長期投資のことを
学んでいきましょう。

市場の予測は難しい

リーマンショックで
暴落した株価。

その後、株価が
回復してきても
アンカリング効果によって

「また安値に戻るに違いない」

多くの投資家が
こんな心理に陥りました。

株価が上がっても
暴落前の水準に戻るまでは
疑い続けます。

「まだ本格的に
経済が戻ったと言えない」

しかし、株価というのは
暴落したとしても
一定期間を経過すると
本来の価値に戻ってきます。

米国株式も同じです。




多くの人が不安になり
株を売ったり、
買い控えたりしている間に
米国株式はリーマンショック前の
水準を遥かに超えて
上昇し始めました。

世界の企業は恐慌から立ち直り
再び利益成長を始めたのです。

こうなると、暴落時に慌ててて
株式を売ってしまった人は焦ります。

「ああ、何であの時売ってしまったんだ」
「株価はまだまだ上がりそうだぞ」

こうして、いわゆる楽観派の投資家が
次々と市場に帰ってきます。

個人投資家も遅れて
「この波に乗り遅れまい」と
市場に参入してくるわけです。



競馬好きな方が
レースが終わった後で

「ああ、あの馬を買っとけばよかった」

と嘆くのと同じで

「あの時買って、
この時売っていればよかった」

と嘆いても
投資の世界では通用しません。


POINT

将来の株価の値動きを
予測するのは難しい


安い時に買え、と言われても・・・

米国株式は
リーマンショックの後
一時的にコロナショックを
経験したものの
結果的に高値を
更新し続けています。

暴落時に
株式を売って
損切りした人は
大変な後悔をした
ことになります。

「暴落時に買えば良かったのに」と
後講釈を述べる人もたくさんいますが
当時は100年に一度の世界恐慌。

その渦中にいて
「今が買い時だ」と言って
買い増すという選択ができる
冷静な個人投資家は
どれだけいるでしょうか。

リーマンショック時の
歴史的な安値を見て
「今が絶好の買い時」と
無感情で売買できる人で無ければ
短期投資で成功するのは
難しいでしょう。

株式投資をする以上
定期的に起こる暴落を
避けることは絶対にできないし
底値(一番安い時)を
選んで買うのも難しい。

短期投資に必要な
「市場の予測」が
いかに難しいか
ご理解いただけのでは
ないでしょうか。


POINT

大恐慌などの暴落時に
「今が買い時」と冷静な判断が
できる人はほとんどいない


暴落した株価が戻らなかったら?

リーマンショックの時は
たまたま株価が戻っただけで

今後どうなるか分からない。

大暴落した後
株価が戻らなかったらどうなるの?

こう心配する方もいます。

結論から言うと
そうなった場合は「損」します。

しかし、暴落した株価が
もとに戻らないことが
あるのでしょうか。

過去のデータから見てみましょう。

過去60年の米国株価



1960年から
2021年まで
約62年間の
米国株価の推移です。

赤いグラフがS&P株価指数
(米国の株価の値動き)

グレーのグラフはそのEPS
(一株当たりの利益)です。

株価指数は約77倍
EPSは約65倍

年率に換算すると
驚異の 7.3%です。

出典:野村アセットマネジメント「米国株式への長期投資が有効と考える3つの理由」

たまたま
この62年間
景気が良かったのか?

当然、そんなことはありません。


1973年 
第一次オイルショック

1979年 
第二次オイルショック

1980年 
イラン・イラク戦争

1987年 
ブラックマンデー
(世界同時株安)

2000年
ITバブル崩壊

2001年
アメリカ同時多発テロ

2003年
イラク戦争

20008年
リーマンショック

2010年
ギリシャ財政危機

2020年
コロナショック

などなど・・・

大きな暴落、株安は
数え切れないほど起きていて
上げればキリがありません。

それでも、結果として
米国株価は
成長し続けているのです。

過去62年間
成長し続けた株価が
皆さんが投資を
始めた途端
成長を止めることが
あるでしょうか。


POINT

大暴落を経験しても
米国株式は結果的に
成長し続けている


過去200年の米国株価

60年間
成長しているのは
分かった。

でも、もう少し
安心材料が欲しい。

そんな心配性な方は
こちらのデータも
ご覧ください。





ジェレミー・シーゲル教授の
「株式投資の未来~永続する会社が
本当の利益をもたらす」

通称『赤本』からの引用です。

1802年から
2001年まで
約200年間

米国の株式や国債
金や預金など価値が
どのように推移したのかを
表しています。

この中で圧倒的に
価値を上げているのが
米国株式です。

200年間で
上昇した価値は

なんと約60万倍。


もちろん
短期的な値動きで見れば
何度も暴落を繰り返しています。

しかし結果的には
右肩上がりに
直線を描くように
株価は大きく成長してきました。


POINT

米国株式は過去200年間
右肩上がりに成長し
その価値は60万倍になっている



参考:ジェレミー・シーゲル教授の『赤本』

ジェレミー・シーゲル氏は
ペンシルバニア大学のウォートン校で
フィナンシャルマーケットについて
教鞭を執っている大学教授。



シーゲル教授の『赤本』は
『緑本』と合わせて
株式投資の指南書として
多くの投資家のバイブルとなっている。

本書の英語版は1994年初版
日本語版は2005年の発刊。

株式の長期投資は
高いリターンを出し続けていること

株式の長期投資は
リスクとリターンを収束させること

株式の長期投資は
インデックスファンドを基本とすること

米国企業だけでなく
国際企業にも投資すること

など
長期投資の基本について
述べられている。

2022年現在
日本の若者の間でも
大ブームとなっている
S&P500(米国株式)
についても
言及されています。

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流行り物には
誰もが安易に手を出す。

これは投資の世界でも同じで
こうなると株価はすぐに
割高な状態になる。

高成長国の株式は
高値になる事が多いため
この成長の罠(※)がある。

※「成長の罠」とは
株価が上がり過ぎて
結果的に配当率が下がることを意味する

成長率が高いと
投資家からの期待も高くなり
結果株高となる。
それを見つけた個人投資家にも
どんどん買われてブームが起こる。

どれだけ企業が成長しても
株価が割高の状態が続くから
期待するほどのリターンを生まない

流行り廃りに流されず
とにかく長期で株式を保有することが
結果的に良いパフォーマンスを生む


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株式投資
初心者から上級者まで
知っておきたい基本の詰まった
優れた投資本である。

データから見えてくるものは

ジェレミー・シーゲル教授の
データを見ていただいて
分かるように

株価は多くの外的要因で
一時的に値を下げる
ことはあっても

長期的にみれば
高値を更新してきた

つまり

世界の企業は
利益成長を続けてきた

という事が言えます。


POINT

一時的な株安は
企業の長期的な利益成長に
ダメージを与えていない



これが
仮想通貨や
FX(為替)には無い
株式の価値です。


もちろんこれらは
過去のデータですから
未来を約束するものではありません。

ここまで学んでも

「いや、それでも
これ以上世界経済は成長しない」

「もうそろそろ、
経済成長も頭打ちだ」

こう思う方は
株式の長期投資
長期資産形成は
止めておきましょう。

まとめ

今回は米国株式の例から

短期投資で
市場の予測をすることは難しい

過去、株価は上昇し続けてきた

暴落(株安)は
企業の長期の利益成長に
ダメージを与えていない

といったことを
お伝えしてきました。

今回も最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

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