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投資と投機の違い

昔から日本人が強く信じている「投資はギャンブル」という考え方があります。正しい金融リテラシーを身につけると、これが大きな勘違いだということが分かります。私たち子育て世代が豊かな老後を過ごすために、投資の正しい知識は不可欠です。今回は「投資と投機の違い」について解説して行きましょう。

投資には「短期」と「長期」がある

昨今、「一億総株主」や「貯蓄から投資へ」など日本政府から投資を推奨する声明が続けざまに発表されています。
金融教育を受けていない私たち日本人にとっては、一体何を言っているの?国民にギャンブルを勧めるのか?と感じてしまうのも無理はないでしょう。
私も現場で多くの子育て世代のご相談をお受けしますが、皆さん同じように感じておられるようです。

さて、ここで大切なポイントを押さえておきましょう。
【投資】と一口に言っても、実は「短期投資」と「長期投資」という二種類の投資方法があるのです。

短期投資で有名なものとしては、仮想通貨やFX、株式のデイトレードなどが挙げられます。

これらは「安く買って、高く売る」ことができれば勝ちです。逆だと負け。
参加者全員が勝つことはなく、「勝ち」という果実を皆で奪い合うイメージです。

戦う相手は、プロの投資家達。

ここでいうプロとは、一般的に機関投資家やファンドマネージャーです。
機関投資家というのは生命・損害保険会社、銀行、GPIF、共済、政府系金融機関など、莫大な資金を使って株式などの運用を行う大口投資家のことを指します。
ファンドマネージャーは、日常的に人のお金を預かって運用し、収益を上げることを目的としているプロ集団です。

この方々より正確に市場を予測し、勝ち続けることは至難の業でしょう。
ラッキーで勝つことはあっても、それには再現性がありません。

しかし、残念ながら世の中には詐欺まがいの情報が横行しているのが現状です。

「絶対勝てる!FX」

「仮想通貨で必ず億り人!」

皆さんも目にされたことがあるのではないでしょうか。
投資の世界にはありえない「絶対」や「必ず」が平気で使われていても、金融教育を受けていない我々は簡単に騙されてしまうのです。

ちなみによく誤解されるのですが、ファイナンシャル・プランナーは短期投資のプロではありません。
「どの銘柄を買えばいいですか?」と質問を頂いても残念ながら全く分からないどころか、もし知っていたら教えずに自分がこっそり買います…(笑)。

儲け話は人に教えない、という言葉がありますが全くその通りです。
短期投資の勝ち方を人に教えるというのは根本的にあり得ない、ということを知っておくと怪しい儲け話に騙されなくなりますので覚えておきましょう。

短期は「投機」、長期は「投資」

上記のような短期投資、いわゆる「安く買って高く売る」投資方法は一般的に【投機】と呼ばれます。
投機で勝ち続けるには、市場を予測し、それを的中させ続けることが必要だということをご理解いただけたでしょうか。

一方、時間をかけて株式等を積み立てて行く投資方法が長期投資、これが本来の【投資】となります。
実は政府が提唱しているのは、この長期投資です。決して、伸るか反るかのギャンブルを我々に推奨しているわけではありません。

投機は市場を予測し、当て続けることが必要でした。
では、長期投資の利益は何でしょうか。

それは、「世界経済(GDP)が10年後、20年後に今よりも拡大を遂げていること」です。

長期投資には、予測もラッキーも必要ありません。
今後も資本主義が続き、世界のトップを走る企業が利益を出し続けてくれれば、それが長期投資家の利益となるのです。

世界経済(GDP)は成長し続けるか?

確かに、投機で勝ち続けるのは難しい。
でも、長期投資にとって大切な「世界経済(GDP)が成長し続ける」ということには、確証があるのでしょうか?

残念ながらありません。
将来のことは誰にもわからないからです。

しかし、過去のデータからある程度、将来を予測することは可能です。

世界株式インデックスについて

投資対象を特定の国や地域に絞らずに、全世界に広く分散投資する「全世界株式インデックス」というものがあります。

世界のGDPと全世界株式インデックスは過去20年間、結果的には右肩上がりとなっています。
全世界株式インデックスは世界のGDPの拡大とともに、この20年間で約4.5倍になりました。

今後の世界のGDPは、2026年には約127兆ドルまで拡大すると予測されています。
(2001年は約34兆ドル)

また、経済成長に欠かせない要因である人口については、2021年の世界の総人口約79億人から2051年には約98億人までに増加することが予想されています。

ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』

もう少し長い期間でも見てみましょう。
上記画像は、株式投資研究の世界的権威であるジェレミー・シーゲル氏の著書『株式投資の未来』からの引用です。
とても有名なデータなので、ご存じの方も多いかもしれません。

1802年に買った株式や国債、金(ゴールド)、米ドルが、200年後の2001年にはいくらになったかを示したグラフです。

200年前に1ドルの価値だった株式は、なんと約60万倍にまで成長しています。
これは、世界の企業自体が200年間、利益成長を続けて大きく成長しているからです。

ちなみに米ドル(預金)の価値が0.07ドルに低下しているのは、物価上昇によってその価値が10分の1以下にまで低下してしまったことを示しています。

まとめ

いかがでしたか?

世界経済(GDP)が今後10年、20年と成長し続けるかどうか、皆さんはどう思われるでしょうか。

過去200年間に渡り確実に成長し続けてきた世界経済が、皆さんが投資を始めた途端にピタッ、と止まってしまうのか。
ご自身の老後必要資金と相談しながら、自己責任の範囲でしっかりとご判断頂きたいと思います。

・投資には短期と長期がある
・短期投資は【投機】と呼ばれる
・投機で勝ち続けることはプロに勝ち続けること
・長期投資は世界経済(GDP)の成長が利益になる

今回も最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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