投資が流行っているようだけど
元本保証の無いものには
できるなら手を出したくない。
うちは銀行預金を頑張っているが
これだけではダメなのでしょうか。
こんな質問をいただくことも少なくありません。
実は、30年前の日本であれば預金で十分でした。
しかし預金だけで長期資産形成を行うことには
今の日本では無理があると言わざるを得ません。
なぜなら当時の日本と現在では
状況が大きく変化しているからです。
この記事を読むとなぜ私達が預金だけではなく
投資を活用した長期資産形成をする必要があるのかが分かります。
結論は、預金のまま残しておくと資産価値が目減りする
ということです。
日本人は預金が大好き
銀行預金が大好きな国だと言われています。
実際に金融庁の調査を見てみると
日本人は資産の5割以上を
銀行預金で保有しています。
一方、他の先進国は軒並み
銀行預金の比率が低く
金融先進国であるアメリカに至っては
銀行預金の割合は1割強となっています。
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出典:日本銀行「資金循環の日米欧比較」
なぜ、銀行預金の割合が
極端に少ないのでしょうか。
それは資産形成の基本となる考え方である
現金・預金のまま長期で残しておくと
資産の価値は目減りする
ということを学んでいるからです。
今回はその部分について解説して行きます。
銀行預金のまま
お金を長期で残しておくと
その価値は減っていく
【クイズ】損してる?得してる?
こう言われても
あまりピンと来ない、という方も多いでしょう。
この考え方は金融教育の基本となりますので
クイズを交えて解説してみます。
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Bさんは10年前に借りた1万円を
Aさんに返しました。
Aさんから見ると
10年前に貸した1万円が
ちゃんと手元に返ってきたので
ひとまず安心です。
ではここでクイズです。
次のうち、正しいものはどれでしょうか。
① Aさんは損した
② Aさんは得した
③ Aさんは損も得もしていない
いかがですか。
少し考えてみてください。
このケースだと
・貸した1万円が10年後に1万円で返ってきた
・Aさんは貸したお金を返してもらったから損ではない
・でも利息はついていないので得でもない
つまりAさんは損も得もしていない。
だから③が正しい、と考える方が多いのではないでしょうか。
しかし答えは①で、
Aさんは損していることになります。
なぜそう言えるのか。
現在の1万円の価値は10年後には減っている
つまり
10年前は1万円で買えたモノが
現在は買えなくなっている
ということです。
これを理解できた人から
資産運用を真剣に考えるようになります。
お金の基本を学んでいきましょう。
現在1万円で買えるモノが
10年後には少なくなっている
世の中の物価は上がっていく
このグラフをご覧ください。
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出典:総務省統計局 「消費者物価指数」
1947年から2021年までの
消費者物価指数の推移を表したグラフです。
簡単に言うと
モノの値段がどれだけ上がったかが
一目で分かるようになっています。
ここで重要なポイントですが
世の中の物価は上がっていく
まずはこれを押さえておいてください。
モノの値段が上がる、つまり
物価が上がると同じお金でも
買えるものが減ります。
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身近な例で、自販機のジュースを見てみましょう。
昔は100円で買えたのに
今は100円では買えません。
ジュースが値上がりしたので
100円の価値が下がったということです。
消費税で考えると分かりやすいでしょう。
消費税が無かった時代から
3%、5%、8%、10%と
どんどんモノの値段は上がっています。
その度に100円で買えるモノは減りました。
これがお金の価値が目減りした状態です。
70年でモノの値段(物価)は上がった
物価が上がるとお金の価値は目減りする
物価が上がると預金が減る?
消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く
総合指数が103.4となり
前年同月比で3.6%上昇しました。
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出典:総務省「消費者物価指数(CPI)-2022年10月」
モノの値段が上がるとお金の価値が減る
この基本的な考えに基づいて考えるなら
この一年間で3.6%以上の運用ができていない資産は
事実上、目減りしていることになります。
では現在の日本の金利はどうなっているでしょうか。
残念ながら超低金利です。
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モノの値段が3.6%上がっている中で
銀行金利は0%ですから
私達が安全だと信じて銀行に置いている資産は
残念ながら目減りした、ということです。
そして日本銀行は2013年から
年間2%の物価上昇を目標として掲げているので
今後も年利0%での資産形成では
資産は目減りし続けることになります。
そして厄介なことに
この資産の目減りというのは目に見えません。
銀行預金は元本保証です。
100万円なら100万円のまま
増えもしないが減りもしないので
価値の目減りに気づきにくいのです。
モノの値上がり以上に運用をしないと
資産は目減りし続けることになる。
目に見えないので気づきにくい。
資産の価値は自分で守る
世の中の物価が上がる中で
銀行預金のゼロ金利では
資産の価値は減り続けます。
少なくとも
物価上昇に負けない資産運用をしなければ
長期では資産の価値は目減りし続ける
ということです。
その中で長期積み立て投資が
安定して資産を守ってきたというのは
金融庁も示しているとおりです。
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銀行だから安心。
元本保証が間違いない。
残念ながらこれは過去の常識です。
大切な資産、とりわけ教育資金や老後資金は
資産の目減りを加味して準備していきましょう。
物価上昇に対応できる資産形成として
長期積み立て投資を選択肢に入れよう
変化できる者だけが生き残る
私の好きな言葉をご紹介します。
進化論でおなじみのチャールズ・ダーウィンです。
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日本人がなぜ
銀行預金が間違いない!という思考から
抜け出せないかと考えると
そもそもかつての日本は
非常に金利が高い国だった
ということがあると言えます。
現在の子育て世代には想像もできませんが
バブル期前後の金利は5%から8%と高く
放っておいても勝手にお金が増えた時代。
一方で金融機関が勧めた投資商品は
非常にギャンブル性の高いもので
多くの人が大きな損失を経験し
投資に対するトラウマを抱えました。
そんな流れの中で日本人の心には
「欲を出さずに銀行に預けておくのが一番安全」
という根強いイメージが
定着していったのではないでしょうか。
世の中が大きく変わっている今の時代に
古いイメージのまま何となく資産形成していると
残念ながら資産は目減りしていきます。
慣れきった習慣を変えるのは
大変にエネルギーの要ることですが
ダーウィンの言葉に習い
時代の変化に対応していきましょう。
・モノの値段が上がると資産は目減りする
・ゼロ金利では長期で資産を守れない
・古い常識や習慣からいち早く抜け出そう
今回も最後までお読みくださり
ありがとうございました。