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会社の利益と顧客の利益

会社の利益と顧客の利益

2023年6月、セゾン投信の株主総会で創業者の中野晴啓会長の退任が決まりました。

多くの方にとっては「それが何なの?」という感想だと思います。
しかし、新NISA開始に伴い投資がより身近になる私たちにとって、そして長期積立投資でより確実に資産を増やしていきたい方にとって、このニュースは決して無関係では無いと考えています。



ニュースの概要

セゾン投信は直販系の運用会社です。つまり、銀行や証券会社を通さず、自分たちで直接お客様に投資商品などを販売する形態をとっていました。日本経済新聞によると、親会社であるクレディセゾンは「直販では無く、顧客リストを持っている各金融機関と提携していく」という方針を示し、中野会長とは対立していたようです。

では、なぜセゾン投信は直販体制を貫いていたのか。これは日本における運用会社、投信販売に対するアンチテーゼだと言っています。

系列の会社に次々と新しい投資信託を作らせ、販売手数料稼ぎのために顧客に短期での乗り換えを勧める。
そういった日本の運用会社、銀行や証券会社の販売手法は、販売サイドの利害ばかりが優先されている、との批判が根強くありました。

これに対しては、金融庁も説明資料の中で日本の金融機関の販売手法を批判しています。




金融庁説明資料


このような状況の中でセゾン投信の中野会長は、「顧客本位で信頼関係を結べば、相場の下落局面(株価の暴落時など)でも急激な資金流出(顧客が投資を止めてしまうこと)は起きず、顧客の長期資産形成を支えることが出来る」と語っていました。

このブログでも述べてきたように、投資で資産を増やすには「長期積立」が基本です。これを顧客との信頼関係のもとにやっていきましょうね、という中野会長の方針に対して、親会社が「待った」をかけた訳です。

粗製乱造の日本投資信託

なぜ、中野会長の「同じ商品を長く持ってもらう」という方針に待ったがかかったのか。それには日本の金融機関の闇が見え隠れしています。

日本の金融機関には「販売ノルマ」が必ず存在しています。このノルマを達成するには「販売手数料」を稼ぐ必要があります。顧客が同じ商品をずっと運用していても、金融機関には手数料は入りません。そのため、新しい商をどんどん作り、お客様の所へ行って「この商品は良くないので、新しいこの投資信託に変えましょう!今だと米国リートが良いですよ!」などと乗り換えて貰う。

そんな短期売買を金融機関を上げて繰り返しているので、日本人の投資信託平均保有期間は3年未満と短く、さらに運用利回りは平均でマイナスとなっているのです。



手数料稼ぎのために短期で回転売買を繰り返す日本に対し、米国での販売方法は全く違っているようです。



どんどん新しい商品を作っては乗り換えを勧める日本。
同じ商品を長く運用する米国。

結果は一目瞭然です。



基本は「良い銘柄を選んで長く持つ」

投資の基本は長期積立です。しかし、日本では販売サイドの利害が優先され「短期での回転売買」が常習化しています。これは私の勝手な想像ですが、今回の中野会長の退任劇の裏には「金融機関にとって都合の悪い長期投資が日本に根付くことはまだまだ難しい」という、日本の闇が隠れていると感じています。

今一度、長期投資の基本に立ち返り、金融機関の食い物にされない知識をしっかり身に付けていきましょう。

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